まきのとおる物語

ドラマチックに憧れるしがないサラリーマンの青春ストーリー

第8話「ドラマチック」

「いや〜、面白かった!」

 

帰宅後、昨日見ていたドラマの残りを一気に見てしまった。

 

ドラマ初めはいろいろと悩んでいたヒロイン、しかし悩みがありながらも、とにかく一生懸命な姿がヒロインの周囲をどんどん変えていく。そして、ヒロインが一方的に思いを寄せていた人も、彼女ひたむきな姿に次第に好意を抱くようになる。その後、イロイロな駆け引きやらライバルが現れても、最終的には恋も仕事も上手くいってめでたくハッピーエンディング。

 

ストーリー的にはかなりベタなのかもしれないが、そのベタさがいい。変に難しい話にせず、誰もが見ていて共感できるそのストーリーは非常にドラマチックでロマンチックであった。

 

「ときめいてしまったなぁ……」

 

見終わった後の充実感をかみしめる。

 

こういうドラマを見てしまうと、フィクションにも関わらずドラマの世界と現実の世界をいつも比較してしまう。そして、いつも決まって思ってしまうことが、

 

「現実で起きないかなぁ……」

 

である。

 

男性には珍しいかもしれないが、僕は、割とドラマチック、そしてロマンチックなものが好きである。ドラマでも映画でも、男女が一つのソファで一緒に見れるような作品は一応メモしてある。ちなみに最近の「個人的ロマンチックランキングベスト一位」は『ジョーブラックによろしく』という映画のなかでブラッドピット演じる「ジョー」が、クレアフォーラニ演じるヒロイン「スーザン」とコーヒーショップで出会うシーンだ。

 

コーヒーショップで、お互い初めて出会ったのにも関わらず、二人の会話の中で、それぞれの価値観を話しているうちに、だんだんと惹かれていくのが分かるあの数分のシーンは大好きだ。何よりもジョー演じるブラッドピットの表情、仕草の一つ一つが本当に素晴らしい。

 

「あんな出会いと会話をしてみたい……」

 

かなり影響を受けているようである自分。しかし、そんなドラマチックな出会いなんて現実世界では数パーセントの確率でしか起こらないし、あったとしても、そこで目の前の女性をときめかせるような話なんて自分には絶対にできないのに、そんな馬鹿げた妄想を抱いている。

 

日曜日がそろそろ終わりに近づいてきたので、歯磨きをしてベッドに横になる。

 

天井を見つめながら、今日の一日を少し振り返る。

 

いろいろと思いを巡らせた今日一日だったけど、今日が「なにかのヒント」になったのかなぁ、そう思いつつ、その日は就寝した。